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            私は魚譜を作るために島民に話を聞いて回ったが
            それぞれ意見が異なり整理するのは不可能だった
            島に昌大という青年がいた
            学問を好んだが貧しい家には書がなく——
            知識を広げる手立てがなかった
            人柄は誠実で きめ細やか
            魚や海藻 海鳥など海に生息するあらゆる生物を
            細やかに かつ深く観察しその性質を心得ていた
            ゆえに彼の言葉は信頼できた
            そうして私は長きにわたり彼の助言を得ながら
            本を完成させた
            それがこの「茲山魚譜」である

            ——丁若銓 『茲山魚譜』 序文(劇中より)
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イントロクション

水墨画のようなモノクロームで描かれる、美しき絆と風景。

日本でも渋沢栄一の孫、敬三が翻訳版の出版を志した、韓国で有名な海洋生物学書「茲山魚譜」(チャサンオボ)。本作はこの書に記された史実を基に、身分の違う師弟の絆とその行く末を描いた感動の物語だ。主人公の丁若銓を演じるのは韓国映画界きっての実力派俳優ソル・ギョング。意外にもキャリア初の時代劇出演となるが、どんな過酷な状況下でも持ち前の好奇心と知識欲を忘れない天才学者を、時に絶妙なユーモアも交えながら圧巻の演技力で魅せる。実は劇中にも登場する若銓の末弟・丁若鏞の方が後世に名を残している高名な学者であるが、これまで歴史に隠れていた若銓を名優ソル・ギョングが演じることにも大きな意味を感じずにはいられない。

その瞳に限りない学問への欲求と野心をみなぎらせる昌大には、ドラマ「ミセン-未生-」、「六龍が飛ぶ」、「ミスター・サンシャイン」などで一躍人気者になり、かつては自主映画のスターとも言われたピョン・ヨハン。日本映画『太陽は動かない』にも出演するなど着々と活躍の場を広げつつある彼が、大先輩ソル・ギョング相手に一歩も引かない熱演を見せる。ヨハンの両親が実際にクリスチャンであることも、本作との不思議な縁を感じさせる。

2人を取り巻くのは、韓国映画&ドラマ好きならご存知の人気俳優ばかり。映画『パラサイト 半地下の家族』で広く知られることになったイ・ジョンウンをはじめ、チェ・ウォニョン、(ドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」)、リュ・スンリョン(映画『エクストリーム・ジョブ』)、チョ・ウジン(映画『ソボク』)、ミン・ドヒ(ドラマ「応答せよ1994」)など個性豊かな面々が賑やかに作品を彩る。

2021年の百想芸術大賞では映画部門で大賞を獲得するなど韓国で高い評価を得る本作の監督は、時代劇の巨匠とも呼ばれるイ・ジュニク監督。これまでも『王の男』、『王の運命-歴史を変えた八日間-』、『金子文子と朴烈』など激動の時代をたくましく生き抜く人々を描いてきたジュニク監督が、『ソウォン/願い』以来となるソル・ギョングと再びがっちりタッグを組み、こだわりの水墨画のように美しいモノクロ映像と共に、不思議な縁で結ばれた師弟関係の行く末を感動的に描き上げる――。

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